桧の特徴
桧建築のすすめ
- ・優れた調湿効果及び高い断熱性能があります
- ・時がたつほどに強度が増し、堅強な建材となります
- ・高い除菌(ウイルスの感染価を抑制)することが出来ます
- ・消臭効果(タバコの残り香、汗・トイレ・生ごみやペットの臭い)を発揮し、においを分解することで爽やかで落ち着きのある空間を造ります
- ・ストレスの緩和、集中力の向上、風邪や怪我の抑制効果があります
- ・木の柔らかさ・あたたかみ・香りによる人への好影響が期待できます
- ・地場産材の活用による地域経済の活性化し、森林リサイクルがうまく循環することで国土安全・土砂災害等の防止にもつながります
桧(ひのき)について
桧とは
ひのきは、「火の木」の意味で、古くはこの木をこすって火を得たことからつけられたものとする説が有力です。
ひのきは古くから良質材としてよく知られ古来より、庶民建築にはほとんど利用されず、宮廷、豪族の居宅、神社造営の用材としてもっぱら用いられてきました。
桧の歴史
利用の歴史は、きわめて古く、弥生式の遺跡から発掘された木製木具の材料にしばしばひのきが発見されています。
仏教伝来以降、寺院建築がさかんになり、それに伴って大量のひのきが使用されるようになりました。
ひのきの利用として有名なのは、奈良東大寺の建立、再建の歴史です。平安時代の東大寺建立では、伊賀国(三重県)や近江国(滋賀県)の琵琶湖周辺のひのきが利用されました。
ひのきの造林は11世紀に和歌山県の高野山で始まったという記録が残されていますが、17世紀以降になって尾鷲地区のひのき造林が大きく展開されました。
その造林は、天然林の伐採跡地、または製炭跡地につくられたもので、すでに幕末期には、「木材需要の増大によって、杉、檜の密植林が誕生し、そのなかで檜材が尾笠材として名声をあげました。
ひのきの人工林は、明治以降の日本経済の発展、木材需要の拡大に伴い、量的にも地域的にもいっそう広がりました。
桧の特徴
ひのきは直幹性常緑大高木であり、樹高30m、胸高直径1mにも達します。
ひのきの色合いは心材では、淡黄褐色から淡紅色、辺材では淡黄白色で、心材と辺材との境界がはっきりしていません。
また、木目はすぎほどはっきりしておらず、木理は通直、肌目はち密で、なめらかな材質をもっており、天然木は年輪幅が斉一的で、一般的に欠点があまりありません。
特有の芳香をもち、この芳香をだす成分は腐りにくく、保存性が高くなっています。
また、強度が高くかつ加工が容易で、狂いも少なく、優れた特徴をもっています。
このため建築、建具、家具など用途は広汎で、すぎ、まつと並んでわが国の建築材としては最も一般的に使用される材です。
法隆寺の金堂、五重塔、法輪寺三重塔、極楽院本堂、宇治の平等院鳳凰堂など歴史上有名な数多くの建築にひのきは使われ、材料としてのよさ、保存性の高さはすでに証明されています。
ひのき材では圧縮、曲げなどの諸強度は、伐採使用後200年まではやや上昇、その後は漸減して新材と同程度までになり、衝撃曲げ吸収エネルギーは300年までに30%ほど低減しますが、その後は変わらないことが科学的に証明されています。
ひのきは構造材料として優れているだけでなく、装飾材としても特別の地位を占めています。
たとえば名古屋城も土台から天守閣まで木曽檜がふんだんに使われており、たぐいまれな装飾的価値をもっています。
ひのき造りの建築は、わが国では特殊な意義をもつものとされています。
桧の銘木について
ひのきはその材質の特性から建築材料をはじめ広汎な用途をもち古くから使用されてきました。
歴史上有名な建築物の材料として、その優良性に着目されてひのきが使用されたといっても、今日いうところの銘木として意識されていたわけではありません。
美観、装飾性などに加え、希少性がでてきて、単なる木材から特別の木材として意識され、特殊な商品として市場性がでて始めて、銘木になりました。
ひのき銘木の使用分野は、床柱など柱、胴ぶち、長押などの造作材、縁甲板、天井板などが主体です。
また特殊な雅致を賞して出節丸太を床柱や門柱にしばしば使用されます(梢端の生節の多い部分を利用するもの)。
ひのき銘木の基本的な取引の形は銘木業者が自分の目で原木を選択して、国有林の公売、銘木の原木市、素材業者などのルートから購入します。
どのような採材をするかは銘木業者の技術が生きるところであり、製材過程は自らの責任で行なわれます。
乾燥も天然乾燥で、丸太で4~5か月もち、製材したものも一年ぐらい乾燥させます。
つまり含水率を低下させるだけでなく、シーズニング(調木)にカ点が置かれ、こうした狂いのない良質材が生産されます。
吉野桧
吉野檜の価格はきわめて高く、高度な木取り技術が必要とされますので、限られた高級材専門の銘木業者にしか扱えません。
奈良県吉野川上流の吉野林業地帯には、すぎ林にひのきを一部混植する慣習があり、すぎの10%ぐらいが植えられています。
ひのきの間伐小径木は化粧丸太に加工され、中径木からの柱角や造作材には無節の製品が多く、銘木として扱われます。
東吉野村から少し桜井市にはいった多武峯(とうのみね)は、狭義の吉野林業地からはややはずれますが、ここでは昔から集約的に枝打ちを行なうなど、ひのきの手入れが進んでいたために、ここから生産されるひのき材は100年生ぐらいですが、特に品質や色つやに優れ、吉野檜の名声を高めています。
昔ながらの粗放な枝打ちながら150年以上を経て、希少価値をもつ老齢ひのきは、川上村、東吉野村の吉野の五大林業と称される大規模所有林地に蓄えられています。
吉野檜は、すぎとひのきを混植すること林分構成が複雑になり、すぎ・ひのき双方によい相互作用があります。
造林者がすぎ・ひのき両方の苗を携行し、現場の地況に応じて、臨機にすぎ・ひのきを選択しながら植えこんでいます。
植栽・手入れは、同じ扱いで、間伐を通じて、より適した樹種が残されていきます。
密植・多間伐•長伐期が特色の吉野林業施業は、ひのきをも通直・完満に育てます。
吉野地方に植えられると土質・気象の関係と肥大成長を抑制された材は年輪幅が狭く、ち密で、油脂に富み、赤みを帯びた「桜檜」という優良材になります。
樹齢が連続している人工造林木の吉野檜は、ひのきの植栽割合が増え、幼齢時から枝打ちも集約的に行なわれているので、中間生産物の化粧丸太や柱角の供給力は、今後、増大が見込めます。
一方、選木と呼ばれる150年を超えるような高齢木の供給は、今後はますます希少価値が高まる方向にあります。
吉野地方のひのきは、ふつうは70-100年生で収穫されるが、選木は樹齢130年以上、目通り周囲1.5m以上、長さ4mの末口直径40-45cm以上の材です。
製品のおもなものは、柱、敷居、鴨居、回り縁、釘町、縁甲板、集成材用化粧板、建具材などであるが、量的に最も多いのが柱角で、年輪のつんだ光沢のある無節の柱は、吉野檜の人気商品です。
また、これを単板とした集成材用の化粧板も柱同様で、評価が高いので、選木にあっては、化粧盤の木取りが中心になり、その残余が造作材に向けられます。
その他、三宝などの曲物、神具、割箸などの木工芸品にも利用され、吉野地方の特産品になっています。
吉野桧といった吉野材の特長は、節が少なく、芯を中心に木目が縦に真っ直ぐに通っています。
節の元になる余計な枝を切り落とす「枝打ち」を行うことで、このような美しい木が出来上がります。
吉野桧は、色つやが良く光沢もあり、数ある桧の中でも、とりわけ美しい色合いを誇っています。
美しさと頑強さを兼ね備えた吉野の桧。
そのため吉野材は、法隆寺のような重要な寺社仏閣をはじめ、様々な建築物に広く用いられております。
当ページの内容は一部、下記の書籍より引用しています
銘木史 全国銘木連合会発行